
9 いつまでも
「わすれたりしませんわ。私と一緒に、いつまでも村でくらしたらどうですか」
「ああ、おれと一緒に、いつまでも村でくらしたらどうだい?」
「ありがとう。二人とも。わしはとてもうれしいよ。でも、わしはもうとしよりだ。それでじゃ…。わしは行けるうちに、ぜひキルギレ山にいきたいと思ってな。若いころから、毎日のようにあの山に祈ったものじゃ。あの高い山は、神さまがすんでおられるという言い伝えじゃ。わしは、いつもわしを見守ってくださった神さまのもとへいきたいのじゃ。神さまのもとでしあわせにくらすつもりじゃ」
「そんな、おじいさん。ここにいてくれないか。それだけで、おれたちの支えになる」
「ありがとうよ。うれしいよ。でも、最後にわしのわがままを、とおさせてくれないか。わしがいちど言い出したらきかないということを、知っておるだろう?」
ヨハンおじいさんは、そう言うとふかく頭をたれた。
「じゃあ、おじいさん、せめて、これをもっていってくれ。きっと頑固に言うことをきかないと思って、ほし草をもってきた。おじいさんに習ったやりかたであつめて、ほしたものだ。あんな高い山の上に、たべものがあるかどうかわからないから…。にもつになるけど」
「ありがとうよ。わしに習ったやりかたであつめてほしたものか…。最高のおくりものだよ」
ヨハンおじいさんはそう言うと頭をさげた。
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