雪の日 ![]() 雪の日 木村達也 雪の降る寒い夜に 教会の石段の片隅に 捨てられていた小さな犬 冷たい風に震えていたね ダンボールの箱の中に 埋もれてしまいそうなほど 白い雪が降り積もって 動けないでいたね 雪の中に捨てられていた 白い小さな犬を拾ったよ 寂しそうに鳴いていたよ 雪の中に捨てられていた 白い小さな犬を拾ったよ ひとりぼっちで鳴いていたよ ![]() ![]() 飼ってもいい? 木村達也 シロを飼ってもいい? そんなふうに尋ねたら ここは団地だから駄目だって そんなふうに言われたよ 団地では他の人の 迷惑になるから 犬を飼ってはいけないんだって そんなふうに言われたよ シロはおとなしいから 噛みついたりしないよ 吠えたりしないよ シロは捨てられていたから 家がどこにもないんだ ここにしかないんだよ ![]() 家 木村達也 団地に住めないから 団地の裏にある 小さな森の中に シロの家を作ったよ 森の中を 歩き回って 草や木を拾ってきて 作ったんだよ でも大きな家は 作れなかったよ 小さくてごめんね 草を集めて 隙間をうめたけど 少し寒くてごめんね ![]() 星 木村達也 シロ ごはんを持ってきたよ 遅くなって ごめんね もう 森の中は 暗くなって 星がでているよ シロ 空を見てごらん 天の川が流れているよ 空にも川があるんだね 家やごはんも あるのかなあ? ![]() 散歩 木村達也 今日はシロと散歩に出かけるよ 空には太陽がぴかぴか光って とってもよいお天気だね さわやかな風が吹いているね シロは小さくて痩せていて 体があまり丈夫じゃないから いっぱい散歩して 早く元気になるといいね そうしたら いつもいっしょに 散歩ができるね そうしたら いつもいっしょに かけっこができるね ![]() 買い物 木村達也 今日はシロと買い物だよ 気持ちのいいお天気だね シロといっしょに歩くと うきうきした気分になるよ スーパーマーケットの おじさんに止められたよ 犬といっしょに 入っちゃいけないんだって ごめんね、シロ ここで待っていてね スーパーには入れないんだ こめんね、シロ 寂しそうな顔をしないで すぐに戻ってくるからね ![]() 大きな犬 木村達也 シロと街を歩いていたら 大きな犬に出会ったよ 黒くて大きな体 堂々として立派だね でも、僕はシロが好きだよ 小さくて不細工で あまり賢そうじゃないけど 僕はシロが大好きさ 堂々と歩いて欲しいな しっぽを丸めて 歩かなくてもいいよ あたたかくて優しくて シロはシロのいいところが いっぱいあるよ ![]() ![]() しゃぼん玉 木村達也 僕がシャボン玉を ふうっと吹くと 虹色の小さな玉が いっぱいできたよ シャボン玉は 風に吹かれて シロのまわりに いっぱい飛んだよ 太陽の光に照らされ きらきらと光って とてもきれいだね シャボン玉に かこまれた道を シロが走っていったよ ![]() 雪 木村達也 街の教会が鐘を鳴らして 夕暮れ時が近づいてきた 白い雪がひらひらと 舞ってきたね 寒い風が吹いて 僕は教会の石段で ひざをかかえて 震えていたよ シロは僕の横に 静かに寄りそって 小さく鳴いていた 寒い日だね そばにシロがいてくれて よかったよ ![]() いっしょ 木村達也 いつもシロといっしょだよ うれしいときは いっしょにかけまわって あそんだよ いつもシロといっしょだよ さびしいときは 星をみながら いっしょにいたね 風の吹く街角で ふるえていたシロ ぼくの友だちだよ あたたかそうな 白い毛のシロ ぼくの友だちだよ ![]() はやいね 木村達也 シロは走ると すごくはやいね ぼくはとても おいつかないや シロは走っても つかれないね ぼくが休んでいるときも まだ走れそうだね いいなあ、シロは ぼくはおそくて いつもどべだから すごいなあ、シロは ぼくは苦しくて すぐにあきらめてしまうから ![]() 星に 木村達也 雪の降る寒い夜に 風吹く街角で震えていた 毛の色が白いので シロと名づけて いつも一緒に遊んだ 朝は一緒に散歩して うれしい時は 一緒に森を駆け回った 寂しい夜は 星を見ながら 一緒に話しあったね でも長い時が流れて シロは星になった 寒い夜空に輝く星に 冬の夜は寒くないかい? ぼくは今日もここで 星を見ているよ きみと星を見ながら 一緒にすごしたこの場所で ![]() ごめんね 木村達也 ごめんねシロ 何もしてあげられなくて もっと散歩に行ってあげれば よかったなあ ごめんねシロ 何もしてあげられなくて もっと遊んであげれば よかったなあ ごめんね 自分のことで 精一杯だったんだ ごめんね 何もしてあげられなくて ごめんね・・・ ![]() 寒い夜 木村達也 寒い夜だね 空気が澄んで 星が美しく 瞬いている 寒い夜だね 冷たい風が吹いて 木の葉がひどく 揺れている ふかふかの毛の シロがそばに いるといいのにな あたたかいぬくもりの シロがそばに いるといいのにな ![]() 夢の中で 木村達也 ぼくが寂しい時 じっと見つめると シロもぼくを じっと見つめた ぼくがうれしい時 頭をなでると シロもうれしそうに しっぽをふった 夢の中で シロに会えたよ 元気そうだった 夢の中で シロは走っていたよ きらきら星の中を ![]() 春の日 きむらたつや ぽかぽかと あたたかい 春の日 にゃーお にゃーお ごろごろ ごろごろ ねこはいいな しあわせそうだな すやすや ぐうぐう すやすや ぐうぐう ぼくも ねこになれば よかったかなあ ![]() 屋根の上の猫 木村達也 きみは屋根の上で ずっと遠くを見ていたね 空にはうすい雲が浮かんで 暖かな日がさしていた きみの視線の先には 何があるのかな 遠くに行ってしまった 大切な人の思い出? 遠くの街は 春の霞のなか ぼんやりとしている いつまでも 見つめていたね 青い空の下 ![]() 忍者 木村達也 分身の術が使えたら 一日で多くの友達と いっぱい遊べるかな? 毎日木の上を跳んで 高く跳べるようになったら 星がつかめるようになるかな? |